2010年5月14日金曜日

交通費にまつわるご相談(まとめ)

Twitterで予告した通り、今日は交通費に関するご相談をまとめてみましょう。

(1)交通費は払わなきゃいけない?

交通費は、支給の義務など一切ありません。

ですから、嫌なら払わなくても結構です。

『なんで住んでいる位置で給与が決まるんだ?』というのは当たり前の疑問。

もらう側にとっては非課税ですが、払う側にとっては、同じ給与。

非課税ではなくなってしまいますが、一律同額支給なんてのもアリですよ。

この後も、この大前提が何度も出てきます。

基本、支払い義務がないので、自由度がありすぎます。

逆に法律で定めてくれたら良いのにと思う事があります。

もちろん、上限設定も自由ですし、ルールも自由。

自由過ぎるから困るんですけどね。

(2)非課税交通費

唯一、公的なところ、税務署ですが、定めてくれているのが非課税交通費の範囲。

【国税庁タックスアンサー】

公共交通機関利用の場合

http://www.nta.go.jp/taxanswer/gensen/2582.htm

交通用具(マイカー・バイク・自転車等:徒歩は×)

http://www.nta.go.jp/taxanswer/gensen/2585.htm

ひらたく言うと、通勤にかかる実費までは非課税なわけです。

当たり前ですね。

儲けがないから、非課税です。

法律上の支払い義務がありませんから、そもそもいくらまでというのも、経営者自身が決めなければなりません。

その時の言い訳に使われるのが、非課税交通費の範囲。

非課税交通費の限度額だから…。

でも、課税交通費で払う事は自由だったりします。

特に、マイカー等の場合、実費ではないので、ガソリン代で欲しいなどと言われるケースも多々あるでしょう。

これをどうするかも経営者の自由。

非課税限度額を交通費と定めているのでこれ以上は払えないとするも良し、キロ単位で単価を決めて非課税額を超える分を課税交通費として支給するもまた良し です。

(3)車通勤なのに定期代

多くの会社で見られるケースです。

ダメではありません。

が、交通用具を利用した場合の非課税限度額を超えて、定期代として非課税で支給していたら、それは税法上アウトです。

不便な立地で、従業員駐車場もあるのに、定期代支給。

そんな会社は、税務調査がとても怖いですね…。

ただ、定期代支給で、交通用具を利用した場合の非課税限度額を超える額について、課税交通費で支払うということなら全く問題ありません。

(4)申請経路

どうやっても1通りでしか通えない人だと問題ありませんが、複数のルートで通える場合など、どれを申請経路ということにするかという問題が生じます。

こちらのルートだと安いけど、本数が少ない、終電が早い。

こちらのルートだと便利だけど高い。

こちらのルートだと帰りにお買いものや習い事に寄りやすい。

一応、非課税範囲を決定する意味では、『経済的で最も合理的な経路』とされています。

この合理的というのも、判断に困るところです。

それも、非課税範囲を決めるための判断基準ですから、実際の交通費を決める基準ではありません。

その都度判定では、経営者や総務担当者がいちいち頭を悩ましますし、個々に不公平が出たりします。

ですから、明確にルールを定めておく必要があります。

例えば…。

①最も安価な経路とする。

②経路は本人に委ねるが、定期券の提出を求める。

①だと、別のルートで通ったとしても、本人が自腹を切ることになります。『経済的で最も合理的な経路』が別だったとしても、それよりも安価になりますから 税法上も問題ありません。経営者としては、支払いを最小限に抑えられます。

②だと、本人はどう工夫しても、交通費で利益を出すことはできません。おそらくは実際に通いやすいルートを選択する可能性が高いです。利益を出していない ことが明らかですから、『経済的で最も合理的な経路』というあいまいな定義の中では、まず非課税否認されることは考えにくいでしょう。

この場合、『健康のために2駅前で降りて歩く!健康と交通費の浮きが手に入って一石二鳥!』みたいなことも許されなくなります。

ちなみに定期券を購入して払い戻す強者もいますので、月一確認ぐらいが必要になりますね…。

(5)虚偽申請

交通用具を利用した場合、実際の距離が必要になります。

そのキロ数の境界あたりで微妙になってくると、これまた思案が必要になります。

また、自宅近くでバスに乗っていると言われても、それが本当なのかもわかりません。(こちらは定期券提出で防げますが…)

前述のようなルールがないと、『本当かよ?』と思う申請書もポロポロ出てきます。後は、大した悪意なく、近くに引っ越したことを黙っていたり、細かなトラ ブルは尽きません。

これらについては、少々脅しになりますが、そもそも支払い義務がないものですから、虚偽申請が発覚した場合には、全額返金の上、以降、一切交通費を支給し ないくらいの定義があっても良いと思います。

就業規則だけで弱ければ、通勤経路の申請書の下に誓約として記載しておくのもアリです。

(まとめ)

こんな、従業員を疑ったようなことをするのは、経営者としても喜ばしいことではありません。

しかしながら、従業員は、交通費は、『経営者の懐が痛んでいないもの』というような誤解をしているかというほど、悪意なく、ごまかそうとします。

そうしたことをしないような組織風土作りが一番大切ですが、ここまでやるかというところをこうして見ておいて、ご自身の組織でどこまでやるかというのを検 討されておけば、何かしらのトラブルがあった際の対処にも余裕が出ると思いますが、いかがでしょう?

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