2010年8月25日水曜日

有給休暇の買い取りを求められました。禁止されていると聞いたことがあるのですが?

おっと。1ヶ月あきそうなので、つなぎますねぇ。

自身のブログで、アクセス数の多かった記事です。
もし、よろしければ…。
http://ameblo.jp/roumukanri/


【質問】

有給休暇の買い取りを求められました。禁止されていると聞いたことがあるのですが?

【回答】

有給休暇の買い取りは、『有給休暇の取得を妨げるもの』として取り扱われ禁止されています。

ただし、時効により消滅してしまった分や、退職により消化できなくなってしまったものについては、『買い取り→違法』という取り扱いは受けません。

ただ、時効消滅時に買い取ってもらえるので、有給休暇を残しておこうというマインドが働くとすれば、積極的に採用するべきものではないということになります。

【解説】

昨日ツイッターで、今日のテーマについてつぶやいていただいたので解説します。

以前、このブログでも記載していますが、有給休暇の法律の趣旨は、『日々の業務を行うにあたって、ゆとりある職業生活を送るために、適度に有給休暇を取得し、リフレッシュしてまた仕事に励む』ためにあるというものです。

ですから、有給休暇の買い取りが前面に出てしまうと、お金を多く欲しい労働者も多いわけですから、有給休暇の買い取りを希望する者が増えて、法律の目的を果たせなくなってしまいます。

また、有給休暇の付与を好ましいと思わない経営者の方が、いえ、私のような社労士が、有給休暇の買い取りを前提とした賃金水準を決定したり、賞与の一部を有給休暇の買い取り分として定義したりして、そもそもの制度自体を破たんさせてしまう可能性があります。

買い取り禁止は労働者にとって不都合に感じるかもしれませんが、上記のような対策を封じ込めるためのものでもあるのです。

回答で触れましたが、時効消滅分・退職時未消化分については、『買い取っても良い』というような見解がなされています。

が、これも積極的に行えば、有給休暇の取得を妨げるものになりかねませんし、退職金の上乗せ部分を買い取り分に定義して、実質制度破綻という状況も作りえることになります。

おそらく、一応上記のような見解はあるものの、制度破綻を目的とした悪質な時効消滅時買い取り・退職時買い取りは、トラブルになっていざ裁判となるとどう転ぶかわかりませんし、そもそもあまり推奨されるものではありませんね。

またあくまでも、『買い取っても良い』だけですので、買い取らないことも自由です。しかし、『禁止されているから』という理由は通用しません。

少しインターネットで調べれば答えが見つかるこの時代ですから、明確に『うちは買い取りはしない』、『退職金の上乗せは残存有給休暇を考慮して決定している』といった明確な説明をしてあげてください。

時効消滅分・退職時見消化分の買い取りも義務ではないので、堂々と対処してあげてください。